COLUMN コラム

【おうちパンマスターFile vol.28】老若男女問わず、みんなにおうちパンを~小林純子さん

こんにちは、吉永麻衣子officialサイト編集部の尾畠です。

“おうちパンマスター”として、独自に素晴らしい活動をしている方にスポットライトをあて、お話を聞く『おうちパンマスターFile』

今回は、北海道札幌でお菓子工房を運営しながら、おうちパンマスターとしての活動もされている小林純子さんです。

小林さんの教室には、様々な世代の生徒さん、そして男性も多くいらっしゃるそう。たくさんの素敵なエピソードや活動への想いを伺いました。

パン作りは小学生から。習ってみたらおいしかったドデカフォカッチャ。

ーーまずはプロフィールを教えてください。

1961年4月生まれ、60歳になりました。
おうちパンマスターの中では高齢者グループに入りますよね。みなさんのお母さん世代になるかと思います。

親元を離れた息子36歳、32歳、娘34歳がおります。3人とも子どもの時からお菓子やパンを作る子たちです。楽しいですもんね、食べちゃえば残らないし。

2012年に古民家を改装し菓子工房を作りました。現在受注製造販売の焼き菓子屋のオーナーパティシエとパン教室・お菓子教室を運営、講師をしています。工房は来年が10周年です。

予期せぬコロナ禍、どんなふうに10周年を迎えることになるのだろう。5年続けばいいと思って始めた菓子工房が10年目前までよく続いたなと思います。こんな時だからなんだってできる!と思うとワクワクします。

ーーパン作り歴は何年くらいになりますか?

現在87歳の母が新しいもの好きで、当時「天火」というガス上乗せ式のオーブンがうちにやってきたのが小学校低学年の頃です。
4〜5年生でひとりでパンを焼いてました。そこから数えたらパン作り歴は50年になっちゃいます。
途中おやすみ期間があり、またパン作りを始めたのは子供の幼稚園入園あたりから。そうすると30年です。

ーー昔から作ることが好きだったんですね!おうちパンとはどのようにして出会ったのでしょうか?

cottaさんに初めてレシピ投稿したのが2012年6月なんです。自分も投稿するけどもちろん他の方のレシピも拝見します。そんな中で麻衣子先生のパンのレシピに出会い、作ってみたけど実はうまくできなかったんです。

そんなこともありながら、そのうちcottaさんで「おうちパンマスター」という資格制度が始まって、私も自分の教室メニューを増やしたいなと思っていた時だったので講座を受けるとこにしたのです。最初から教室メニューに加えたいと思っていたので、迷わず「認定講座」を受講しようと山野寺桃子先生の教室の門をたたきました。

初日の桃子先生のガイダンスで「ドデカフォカッチャ、これがまた美味しくて」というお話を聞いて、「あら?昔焼いたとき美味しくできなかったんだけどな、美味しいってかい??」と思いながら・・・

その日、教えられるがままに焼きましたら、「あら!美味しいじゃないの?!なんでかしら?」おうちぱんとの出会いはこんな感じです。

ーー良いタイミングでの出会いだったのですね!すでにお菓子やパンの教室をされていた小林さんが、おうちパンをメニューに加えたいと思った理由はありますか?

おうちパンに出会うまでは、お菓子メインで講座を開催していました。
児童会館の子育てサロンで、ママと3才未満の乳幼児対象のお菓子教室でクッキー作りが好評でした。
2歳児が「ぐにぐに、コロコロ」にとても興味を持つとの児童会館からの提案で、型抜きクッキーがいいのではないかと考えたのですが、これが大好評でした。

おうちパンもこれに通じるものがあって、ママと幼児に受けるだろうと直感しました。教室メニューを増やしたかったのもあり、おうちパンマスターになりました。

ーーおうちパンで一番好きなパンは何ですか?


一番焼くのはドデカフォカッチャ。
食べて好きなのはマンゴークリームチーズ。これは本当に美味しい。

まさかの展開!誤算だらけだけど嬉しかったこと。

ーーおうちパンマスターになり良かったこと、また一番うれしかったエピソードがあれば教えてください。

ママと幼児をターゲットにともくろんで、おうちパンマスターとしての活動を開始したのですが・・・もくろみは大外れで、うちにいらっしゃる生徒さんは、わたしと同年代のおばあちゃん世代、子どもが独立して夫婦二人になってしまった世代、自分の分だけささっと手作りパンを焼きたいアラフォー女子、そんな生徒さんが多いことに驚きました。

多かったのが、「某大手料理教室で講師課程までとったのだけど、一度も自宅で焼いてません」?!とか「パンってこれでいいんですね」?!きっとパン屋さん並みの技術を大金を払って習ったんでしょうね。なのに家で焼けない。

ちょっと気の毒に思いましたが、ドデカフォカッチャを仕込んで帰る時には「帰ったら焼きます!」と元気になってる・・・これがいつも達成感を感じる一コマです。

もうひとつの誤算が、男性受講者が多いこと。北海道外から月1回、飛行機で来られる男性もいらっしゃいました。彼はおうちパンマスターになられました。「退職したら北海道でパンが焼きたいなあ」なんておっしゃってました。
「東京からなんでわざわざ札幌に?」と聞いたところ、「なかなか男性1人の受講を受け入れてくれる先生がいなくて、検索したら札幌だった。札幌には月に何度か行く用事もあるのでわざわざではないのだ」ということでした。

おばあちゃんのためにあんパンを焼きに来た20代の男性もいたし、小学校の親子レクの感想文の中で「料理人になるのが夢なので今回のパン講座は参考になった」って書いてくれた男の子もいました。看護師をしている彼女さんのために隔週でパンを焼きに来ていた男性は、パン講座の帰りに地下鉄駅で改札の柵越しに彼女にパンを渡すんですって。

それぞれの人生にちょっとだけかかわることができてるようで、誰かの人生の本当にほんのちょっとのスパイス的な添え物になれてるのが嬉しいなって思います。

ーー家での再現性が高いのは、おうちパンの大きな特徴ですよね!パンを焼くのが特別なことではなくなる・・・これは本当に多くの方に知ってもらいたいことです。
そして、生徒さんたちのエピソードがどれも素敵すぎます。老若男女問わず、色々な方達の人生の一コマに関われる、、、こんな嬉しいことはないですね!

ーーおうちパンマスターの活動に対し、周囲の反応はいかがですか?

友達は喜んでますね。シニアおうちパンマスターの毎年の更新試験月には、審査用に焼いたパンの断面が見えるようすべてのパンを半割りかスライスするのですが、そのパンを大放出するから(笑)

もらってください、ってアナウンスすると秒で貰い手が決まります。みんな何度もレッスン受講してくれてるので、友達には感謝です。

ーー小林さんが独自におうちパンマスターとして活動しているフィールドやジャンルがあれば教えてください。

「男性ひとりでもレッスン可能」は強みのひとつと捉えています。また、児童会館をはじめ大人数会場での講師実績は多いと思うので、安心してお任せください、と広くみなさまにお伝えしたいです。

※緊急事態宣言前2019年の写真です。

コロナ禍でもできることを。

ーーおうちパンマスターとして活動するなかでくじけそうになった時はありましたか?またそれをどうやって乗り越えたか教えて下さい。

昨年11月、コロナ感染者が増え、札幌市から大きな講座に3日前にストップがかかったときはさすがに凹みました。それをきっかけに今日まで大きなレッスンはひとつもできていません。

ただ、うちは事業者なので北海道の休業要請の対象だったり国の給付金対象だったりして金銭的には救われています。教室が開店休業状態で「先生、だいじょうぶ?」と多くの方に心配かけましたが「給付金、申請してるから大丈夫!」と答えることで家族にも生徒さんにも「ああ、この先生は辞めないで続ける先生なんだ」って安心してもらえる。

自分自身も金銭的な余裕があれば、「レッスンが思うようにできない状況だとしてもパンを教える仕事をあきらめないですむ」と思い知らされた出来事でした。

おうちパンマスターのみなさんも確定申告をしていれば、給付の対象になったりするので面倒くさいかもしれないけど確定申告はしておくべき、と思います。おうちパンマスターの講座、レッスンではくじけることはないです。楽しくやらせていただいています!

ーーコロナ禍では、おうちパンマスターの皆さんそれぞれ苦労されていますよね。給付金や確定申告のお話は、参考になる方も多いのではないでしょうか。おうちパンマスターとして、今後どのような活動を描いていきたいか、ビジョンがあれば教えてください。

まだしばらくは大勢でわいわいとレッスンするのは無理だと予想しています。わいわいしなくても楽しいと感じてもらえるレッスン、教室が終わって帰宅する時には「さあ帰ったらパンを焼こう!」と元気をおうちに持ち帰ることができるレッスンを目指しています。

また、おうちパンマスターに認定した生徒さんにはぜひレッスンをしてほしい。おうちパンを人に伝えた時の喜びを知って欲しいです。

パンを焼くって幸せな時間です。その時間を、志を持つ人と共有する楽しみを一度経験して虜になって欲しいです。

ぜひレッスンをして欲しい・・・とてもよくわかります!おうちパンマスターになったから必ず活動しなければいけない、なんていうことはもちろんないです。でも生徒さんの「え!?こんなに簡単なのにこんなに美味しいの!?」という反応。これを見れるのはおうちパンマスターの特権なのでは?と思います(笑)

おうちパン以外の普段の生活についても教えていただけますか?

パンとお菓子の受注・製造販売。カフェの企画運営、レシピ開発、YouTube料理動画投稿。超苦手な伝票入力などの事務作業。そして、保護猫活動をしています。

厳しくても譲れないこと。その先にある想い。

ーー自宅教室やレッスンなど、PRしたいことがあればご記入ください!

仲良くさせていただいている児童会館の館長さんが講座開催前のごあいさつでよく話されるのが、「小林先生は材料の無駄使いにきびしい先生です」ということです。

よくテレビのお料理番組では、ボールやホイッパーに生地がついたままアシスタントの方に下げさせて次の工程に移るというシーンが見られます。生地がついた手も流しでそのまま洗われます。

子供たちも、ヘタをすれば大人もその傾向があります。ボールに生地がいっぱいついたまま、流しで洗うため水を張ってしまう。すぐ「先生、手、洗っていい?」って聞く。生地を排水に流すのはまず環境に良くない。

もうひとつ、出来上がりの大きさが違ってくる。材料をきっちり計るのは知ってても、手や器具についた材料をきっちり使わないことでできあがりが違ってくる、ということを今まで言う人や教科書が無かったのかもしれません。

きっちり計るのも大事だけど、同時にきっちり最後まで使う、なるべく洗い流さない、捨てない、材料を無駄にしない、というのも大事。

工程ごとに「あ!まだ残ってる、ほら10グラムもあった」ってちくちく言うから、もしかしたら「小うるさい、細かい、小姑みたい」って思われてるかもしれません(笑)

でもこれは譲れないところです。あとは、身支度しっかり指導します。

ママたちの髪が下がって手で押さえるの、注意します。子どもにはかぶりもの必須です。私も実践しています。これから料理人になりたい子がいる以上、私がお手本にならないとって思います。

「頭にかぶるのはどうしてか知ってますか?」と聞くと、「ハーイ!髪の毛が落ちるから」って元気よく答えてくれます。「正解!!あとね、燃えるから。先生ね髪燃えちゃったことあるんだよ。髪の毛だけですんだけど眉毛に燃え移って顔、ヤケドしてたら死んでたね」って説明します。

食べるものを作るということ、異物混入もそうだけどケガや事故から自分を守る意味で身支度は大事です、って伝えています。

余談ですが、生徒さんのケガや機材にも一応保険かけてます。だから安心して教室に来て欲しいです。

※緊急事態宣言前2019年の写真です。

ーー未来のおうちパンマスターや読者のみなさまへのメッセージをお願いします!

ともすると自宅でお料理系の教室をするって孤独になりがちだと思いますが、おうちパンマスターは学び合い、助け合い、孤独な先生には手をさしのべてくれます。安心して認定講座を受けておうちパンマスターになってください。なるのは早い方がいいです。認定してもすぐレッスンしなくてもいいんです。

ただ早い時期におうちパンマスターになった、シニアになった、その時期が意外と今後のキャリアに影響してきます。迷っていたら資格を取るだけ取ってしまいましょう!迷ってる方にはひと言そうお伝えしたいです。

※緊急事態宣言前2019年の写真です。

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小林さんの教室情報
■ブログ:http://cottontulip.jugem.jp/
■YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCw_wpdMtu1Vl4fKAhDUJTNQ
■インスタグラム:https://www.instagram.com/junko_cottontulip/
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小林さんのお話いかがでしたか?

生徒さまの人生の一コマに関われたように感じられる素敵なエピソードがとても印象的でした。説得力のあるお話がたくさんあり、それは全てたくさんの経験や実績、そして講師としての強い想いからきているものだろうな、と感じました。

実は、「男性の生徒さんならではの反応や工夫されていることはありますか?」という質問もさせていただいたのですが、その答えは・・・

違いはないです。」

その理由は、「女性、子ども、高齢者、障がいのある方、そして男性。男性だからといって他と違うところは無いんじゃないかな。わたしは無いって思ってやってます。みなさんそれぞれ。」

たくさんの経験談を期待していた私にとって、驚きの回答でした。

でも逆に、たくさんの経験をされている小林さんだからこその答えなのかもしれません。小林さんの教室に多種多様な生徒さんが集まるのはどうしてだろう?と考えていましたが、ここにその理由があるのかもしれませんね。

コロナ禍であっても、その中で最大限楽しめるレッスンを目指されている小林さん。

これからのご活躍にも期待しています!

 

 

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